PRODUCT DESIGN

ジャンガのデザインを手がけたのは、音楽やアートにも深い造詣を持つデザイナーの「R.D.」です。
R.D.は、アメリカ、日本、韓国にルーツを持つ日系アメリカ人です。多文化的な背景を活かし、英語・日本語・韓国語を自在に操る国際的なデザイナーとして活躍しています。独自の感性と広い視野を持ち、異なる文化を融合させた独創的なデザインを生み出しています。

彼は、本家ジェンガと全く同じサイズにこだわりながらも、新たな素材と美しさを融合させた独自の作品を生み出そうとしました。しかし、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。

今からちょうど10年前、3Dプリンタが世に出始めた頃、彼はまず試作の模型を制作しました。
しかし、日本国内のペットボトル製造工場に協力を求めたものの、すべての工場から断られるという壁に直面します。それでも諦めることなく海外へと足を運び、ようやくプロトタイプの完成にこぎつけました。

ところが、実際に積み重ねてみると、すぐに倒れてしまうという予想外の問題が発生します。
本件は、バランスゲームという性質上、その成り立ちや楽しさを大きく損なってしまう恐れのある、根本的かつ致命的な欠陥であると考えられます。
ペットボトルは空気で膨らませて成形するため、一つひとつ微妙にサイズが異なり、安定して積み上げることができなかったのです。
この課題を克服するため、彼は容器の表面に独自の模様を施し、膨らみすぎる部分を抑える工夫を加えました。さらに、ガラスのような透明感と美しさを追求し、試行錯誤を重ねながら改良を続けました。
そして幾度もの挑戦を経た末、ついに理想のデザインが完成したのです。

ジャンガは、単なる積み木ゲームではなく、デザイナーの情熱と技術の粋が詰まった芸術作品でもあります。
その洗練されたフォルムと機能性を、ぜひ手に取って体験してみてください。

R.D.はキャップにも独自のアイデアを取り入れました。
彼は、ジェンガのブロックが54個で構成されている点に着目し、それがトランプのカードの枚数と一致することをヒントに、ユニークなマークをデザインしました。
この“トランプ”というユニークな発想は、彼がポーカープレイヤーとして培ってきた経験と感覚から自然と導き出されたものであり、その背景が大きな役割を果たしています。
さらに、キャップにはあらゆるデザインが印刷が可能であることから、多様なブランドとのコラボレーションを想定。
その経験を活かし、アパレルデザインの視点から現在の洗練された形へと仕上げました。
このキャップは、単なるフタとしての役割を超え、ブランドの個性や世界観を表現するためのキャンバスとして機能することを目指しています。

しかし現実は甘くなく、ひとつの問題を乗り越えたと思えば、すぐに次の難題が立ちふさがる—そんな連続の中に私たちはいたのです。
最初のプロトタイプが完成し、実際にお酒を入れた状態で積み重ねて数ヶ月放置したところ、ボトルから液体が漏れるという問題が発生しました。
ジャンガは、内容物を入れると1キログラムもの重さがかかります。
通常のペットボトルは縦置きを前提に設計されていますが、ジャンガの場合は横置きに加え、上からの圧力もかかるという特殊な環境に置かれます。そのため、従来のペットボトルの設計では耐えきれず、液漏れが発生してしまったのです。
この問題を解決するため、私たちは日本の様々な会社と協力しました。
まず、詳細なデータを精密に計測し、わずかミクロ単位の調整を繰り返しながら、ジャンガ専用のキャップを開発。これにより、液漏れの問題を根本から解決し、製品の品質向上に大きく貢献していただきました。
この開発には、最新の素材研究や高度な製造技術が惜しみなく活用されました。
キャップの最適な素材を選定するだけでなく、成形方法にも細心の注意を払い、試作と検証を何度も繰り返しました。
また、長期間にわたる耐久性テストを実施し、厳しい条件下でも性能を維持できることを確認しました。こうした試行錯誤の末、ついに液漏れの心配がない、より信頼性の高いジャンガが誕生したのです。
このように、一見シンプルに見えるボトルの構造にも、綿密な研究と技術の結集が必要でした。
開発に携わった技術者たちの情熱と努力が、ジャンガの完成度を高め、実用化への道を切り開いたのです。

最後にパッケージについて触れておきましょう。ジャンガ全体をクリアなアクリルケースでスタイリッシュに覆い、その上に持ち手をあしらうことで、まるで洗練されたハンドバッグのようなデザインに仕立てました。
持ち手部分には、世界のラグジュアリーブランドでも愛用される最高級レザーをふんだんに取り入れ、上質さと軽やかさを併せ持った、オシャレでポップな佇まいを実現しました。
業販専用の外箱のデザインに込められた想いについては、あまり知られていないエピソードがあります。
それは、R.D.が開発当時の苦労を振り返り、「漏れ」と「涙」という二つのテーマを軸にデザインを考案したということです。
製品開発の過程では、幾度となく試行錯誤が繰り返され、思い通りにいかない日々が続きました。
試作品が思わぬ不具合を見せるたびに、R.D.は悔しさに歯を食いしばり、ときに涙を流したといいます。
しかし、その涙は決して無駄にはなりませんでした。
幾度もの挑戦を経て、ついに理想の形を実現することができたのです。
彼は、この外箱のデザインに込めた思いを「開発の過程で流した涙と、それを乗り越えた末に得た達成感」と語っています。
ボトルやキャップといった製品本体だけでなく、外箱にまでストーリーを宿らせることで、ジャンガは単なる商品ではなく、ひとつのアート作品としての側面をも持つことになりました。
細部にまで情熱を注ぎ込むことで、目にした人々に深い印象を残し、使うたびに物語がよみがえるようなデザインに仕上がっているのです。

そして、こうした多くの人々の支えと尽力によって、ジャンガはついに東京から世界へと羽ばたくことになりました。
この瞬間は、開発に携わったすべての人々にとって、ひとつの大きな節目であり、新たな挑戦の始まりでもあります。
しかし、私たちの歩みはここで終わりではありません。
まだ見ぬ未来を追い求め、これからも挑戦を続けていきます。その先に広がる世界には、これまで想像もしなかった新たな可能性が待っていると信じているからです。

ABOUT R.D.